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「北の子星だより」という題をつけたことについて。
「北の子星」の子星は、子丑寅の子の方角にある星。北を指しつづける星。
つまり北極星のことをいう。
北極星のことを 「子星」 「北の子の星」 「北の子星」 という呼び名もあることを知ったのは、「星空のロマンス 野尻抱影著 ちくま文庫」 を読んでのことだった。
(野尻さんは、明治18年 横浜のお生まれ)
この本の中で、次のようなお話が紹介されている。
江戸時代、厳島からそう離れていない漁村に熊野屋徳兵衛という船頭があり、蝦夷地に渡っては昆布やニシンを積んで、それを売るのを生業としていた。村の人からは、「きたまい(北廻り)の人」と呼ばれていた。
あるとき、徳兵衛の妻が
「北まいをなさるのに、何を方角の目印になさいますか。」
と尋ねると、
「北の子の星を目じるしにする。あれは、いつの晩も一ところにじっとしているからだ。」
と答えた。すると、
「留守の間、二階で機を織りながら、天窓から見えるのを見ていますと、決してじっとしていません。一寸だけ動いています。気をつけて目じるしにしてください。」
と答えたという。
それだけのお話だが、北極星の他に呼び名があるということが新鮮だった。
北極星は航海の目当て。
ところ変わると、砂漠を横断する旅人も北極星が大事な目じるしになっているのだそうだ。
「北の子星だより」 などと題して、何を目じるしにしようかといえば、今は具体的にコレといえるものがあるわけではないが、日々の出来事に感じたこと、考えたこと、また、育児や家事をやりくりしていることを言葉にしていくことで、自分にとっての指針が見えてくれば、と思う。
「北の子星だより」 には、そんな願いを込めました。
どうかよろしくお願いします。
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