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006 自分の脳を初めて見た日
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普段自分の脳を意識することってどれだけあるだろうか。
頭が痛い、とは言っても、脳みそが痛い、とは言わないでしょう。
頭を働かせて、と言う方は多いと思うけれど、脳を働かせて、という方はそうはいまい。
今日は、ひょんなことから自分の脳を見る機会があった。

原因は、アパートの居間と台所の襖を取っ払い、かわりにつけていた赤ちゃんの通せんぼ用のつっかえ棒をひらりと飛び越そうとしてジャンプをした刹那、襖の梁の角に頭を激突させたことにあった。


       

目からは火花が飛び散り、畳に落っこちてもんどりうち、ぶつけた頭はというと、妻が見ると5センチほどぱっくり割れて、慌てて押さえた手に生温かい血がべたっとついている。
これはいけないとすぐにお医者に出かけていったら、用心のためにCTをとろうということになったのです。

CTは、台の上に横たわって2〜3分のうちに写真を撮り終えたのだが、急患が他に入ったらしく、日曜日の静かだった病棟が急に慌しくなり、30分も診察室でほっとかれることになってしまった。その間にCTの写真は、出来上がり、ほうっておかれたお蔭で、ゆっくり写真を見ることができた。
 ちゃんと脳は写っているんだろうか、穴なんかあいていないだろうか、すかすかしてたらどうしようなんて普段あんまり考えたこともない不安に駆られながら写真を覗き見ると、大丈夫でした。出来上がった写真36枚には、ちゃんと脳の断層写真が写っていました。

傷のことなどより、脳がちゃんとあったことに喜ぶなんて、あとで考えてみるととんでもなくのんきな話だと思うが、自分の脳を写真で見て、安心しているのは当の脳なわけで、脳が脳自身の存在を確認して喜ぶなんてなんとも不思議だし、変なことのように思えます。
自分が存在するのだろうか、存在しないのだろうか、いるのかいないのかなんて心配は、普通しないでしょ。
怪我したおかげ!?で、今日は貴重なものを見ることができました。

                              (2003.09.07)


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