家づくりというものは、人との出会いがあってこそ、と思うのだ。
施主のイメージする家の形を具体的に図面に描き出してくださった設計士さん。
職人さんとの打ち合わせや、材料の手配、現場の監理をしてくださった建築士さん。
それから、家をつくってくださる多くの職人さんたち。
多くの職人さんたちの中で我が家をつくるにあたって大工さんについては、上棟までお願いする森澤さんと、それから上棟後の造作でお世話になる中村さん、お二方にお願いすることになった。
お二方とも、本当に素晴らしい大工さんだと思う。
前回は、中村さんの断熱材の造作のお話をしたので、今回は森澤さんのことについて。
今回、柱材、梁材の刻みは、材木屋さんのSさんの勧めで、森澤さんに手刻みをしていただいた。
材木屋さんでのプレカットと呼ばれる機械加工が多くなってきている中で、一本一本、木の性質を確認しながら大工さんが加工する手刻みは、長い目で見て家にとっていいというわけ。
森澤さんの仕事の中で印象深いのは、丈一尺はある唐松の太い梁をつなぐのに、 「車知栓(しゃちせん)」 という刻みを用いて下さったこと。
この継手は、唐松の梁、家の中心部に使われているのだが、梁材と梁材をつなぎに木の栓をして締め固めるもので、昔から神社、お寺などの梁に使われてきた、かなり強力な継手なのだそうだ。
2007.11.30
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(梁のしたに突き出している4枚の木の板が栓です。)
地震の揺れに対して、木組みの家というのは粘りながら大きなエネルギーをいなし、家の倒壊を防いでくれるのだそうだ。
そして緩んでしまった継手は、また締めなおせばいいわけで、昔の人は、優れたものを考え出したものだと思う。
また、優れたものだからこそ、こうして現代まで技術が受け継がれてきたのだろう。
最近の基準法上、金物を使わなければいけないため、写真にあるような板状の金物を両面4枚取り付けているが、大工さんの仕事の方により安心感を感じてしまうのです。
今回、家づくりをするにあたり、森澤さんの加工場にもお邪魔させてもらい、人が手を働かせて家をつくりあげている様子を見ることが出来たのも、大きな安心感、というか、職人さんへの信頼につながっていったように思う。
最近、地産地消ということがよく言われるようになってきているが、その地域の職人さんたちとの出会いというのも、そんなわけでかなり大事なんではないかと思うのです。