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021 現在進行形的な読みができるおすすめの二冊
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新聞の広告欄に、二冊の本を見つけた。
その二冊には同じ題がつけられている。
「愛のあとにくるもの」

この二冊は題名を一つにしながら、一冊ずつ作家がちがう。
一冊は辻仁成さんで、もう一冊は韓国の作家、孔枝泳(コン・ジョン)さん。


普段、新聞の広告にはそれほど気にもとめないし、まして恋愛物の本など今の生活の中ではなかなか興味がわかず、しばらく縁遠くなっていた類の本なのに、この「愛のあとにくるもの」は、気になってしまった。
それは、辻さんが男の視点で、江國香織さんが女の視点で同じ物語を描いた「冷静と情熱の間に」を読んだ時の記憶がよみがえったためかもしれない。

その日のうちに、本屋に走り、二冊を同時に買ってしまった。

「冷静と情熱の間に」も、「愛のあとにくるもの」も、同じストーリー展開を男と女の視点、それぞれの立場で描いているという手法は同じ。

気になる一冊を読み終わってからもう一冊、という読み方もいいが、ほぼ時間軸を同じにしつつ、二冊同時に読むというのが僕のおすすめ。

交互に本を開くので、少しめんどくさいかもしれないが、どちらかの主人公に共感を覚えつつも、同じ場面でのもう一人の主人公の感情のちがいにはっとさせられたり、二人の気持ちや立場のずれにどきどきを覚えながら、読むことができる。

一冊読んで結末が分かってしまってからもう一冊を読むというより、二冊とも最後までどきどきを大事にしたい方は、ぜひぜひ現在進行形的な読みをどうぞ。


(2006.3.24)


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